[色者(しきしゃ)のぼやき] 第29回

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第22回 宝塚国際室内合唱コンクール

日時:2006年7月29日(土)
場所:宝塚ベガ・ホール  

<参加に至るまで>
合唱人間にとっては、以前から行われている有名な宝塚コンクール。 いつもなら人ごとのように通り過ぎるところなのだが、今年は下記ようなわけで参加しようと決意した。

1)例年のコンクールとちがいカテゴリー別の部門設定で興味をもった。
2)賞金金額が例年より少なく、参加応募団体が減るのではないかとふんだ。
  (→つまり本選にすすみやすいのではないかということ!)
3)新潟での大敗をいち早く払拭したかった。
4)2月のジョイントが終わり、6月までヒマだった。。。
  (大会は7月なのだが・・・。)

とはいうものの、3月の音源録音やそれに伴う練習など・・・ いつもは「オフ」のこの時期が非常に多忙になったのはいうまでもない。 さらにメンバーの就職や異動などが重なって人数もふだん以上に集まらない状態で苦しい時期も続いた。 それでもなんとか念願の予選突破を果たして、日々練習に対する自分の心の支えとなったのである。 毎度のことであるが、メンバーには今回もこの決断を「事後報告」としてつたえたことを申しわけなく思っている。。。 それでも文句ひとつ言わず(少なくとも色者の前では!)ついてきてくれるメンバーに本当に感謝している。

<選曲>
【A部門(ルネッサンス・バロック)】
・Sancta Maria, non est tibi similis (John Dunstable)
・Gloriosi principes terrae (Giovanni Pierluigi Palestrina)
・Candida Virginitas      (Cristobal de Morales)
【C部門(邦人作品)】
・夢みたものは(木下牧子)
・祝 福   (木下牧子)
・たいしめ  (三木 稔)

A部門は全日本合唱コンクールのM1シリーズ。 楽譜を宝塚に送るのにどれも冊子のため非常に「大荷物」となった。 「Candida・・・」は今年の課題曲、本当に人前で歌えるのか? と不安もあったがなんとか間に合ったかんじ。 C部門は団員からのリクエストもあり「木下牧子の男声アカペラ」をとりあげた。 時間があまるので「たいしめ」を追加挿入。。。宝塚のホールに合うのか?

<本番当日>
金曜日夜おそくまで勤務していた社会人、試験期間中の学生など・・・ ほとんどのメンバーが29日の早朝に徳島を出発して、ベガホール前に集結した。 みんな眠そう・・・午前10時前だというのに日差しが非常に強く、さらにぐったりしてしまう。 本当にこんな状態でいい声で歌えるのか? 団体受付時間になり室内へ入る。 受付の人たちは非常に笑顔でやさしく、さらに誘導係は「宝塚少年少女合唱団」の女の子が担当・・・ こちらはとても気持ちが和んでよかったのだが、彼女らにはとてもこわいオジサンたちにうつったのかもしれない。 (最近は「しらんおっちゃんと話したりしてはいけない!」と学校からキツく言われているのだろう。。。か)

室温にもなれて、身体の状態は回復してきたが、いかんせん長時間移動のあとだと声の出具合がとても心配だった。 リハーサルはその予感が的中し、さらにほとんど響かないリハ会場で、出来は散々なモノに。 細かいことを指示しようにも時間もないし、とりあえずリラックスしてまず自分の声を整えることに重点をおく。 ハミング、ピッチあわせなど、できるかぎり修正し本番に臨んだ。

まずはA部門。本番ベガホール内はまったくちがう別空間!ふっと新潟のことをおもいだす・・・ 狭いところをわたり歩いたあげく、ぽんとどっぴろいホールに放り出されて何もできなかったことを。 正直“やばいな”と思ったが、歌い出すとみんな結構聴き合っていい響きになっていた。 このホール独特響きというか音が上にあがったいくのが、指揮者の位置からもわかった。 プレイヤーの前にたっているのに、その声が直ではなくホールの響きを介して耳に入ってくるのである・・・ 今まで経験したことがない不思議な感覚だった。 いつもの荒っぽい声はほぼ封印され、Hibikiらしからぬ“優等生”っぽい演奏だったように思う。 しかしそれはウラを返せば、個性まで封印された説得力の乏しい演奏だったかも知れない。

時間をおいてC部門。一度ステージを経験し、次は日本語の歌!というせいか、みんなはリラックスムード・・・ 逆に言えば緊張感が足りない。さらに早起きだったためか眠さがピークにきているメンバーもチラホラ。 A部門の経験をいかしていかにホール内に響かせるかということを気をつけて、 いつもの「自由奔放な“たいしめ”」は御法度!とした。 自分では結構よかったのではないかと思ったが、 団員からは「やはりもっとハジけるべきではなかったか」「ビビって歌っているような印象を与えたのではないか」と感想がでた。。。 なるほど、そうだったかも知れない。変にホールの響きを意識しすぎると、プレイヤーの表現力というか気持ちが伝わってこなくなる・・・ ということであろう。 実際、自分たちの演奏が終わって他の出場団体の演奏を聴いてみると、やはり「ハモる」ことのみ一生懸命で「歌」として表現力のない演奏は、 聴いていて美しいのであるが(というかこのレベルになってくるとハモリがおかしい?なんていう団体はいない!)、心を動かされるような感動はないのである。。。 まあそれはどんな場面での演奏にもあてはまることなのだが。

<審査結果>
今回 Hibiki は【A部門4位・C部門7位】という結果で、おしくも3位以内の入賞は逃してしまった。 しかし全日本合唱コンクールでいつも「ビリ争い」をしていることからすれば、よく健闘した結果ではなかっただろうか。。。 来年、またここへ来られる保証は全くないが、是非ともがんばって宝塚の舞台に再び立ちたいものである。

<交流会>
宝塚合唱コンクールに参加して非常におどろいたのは、参加団体どうしに審査員の先生を含めた「交流会」が行われることである。 もちろんみなさん他団体の演奏も聴いていた人も多く、お互いに聴いた演奏などについて話しが盛り上がらないはずはない! いつもは厳しい表情のエラ〜イ審査員の先生方も、お酒が入るととても饒舌になり、気安く話しかけてくれる。。。 本当に幸せなひとときであった。 なおHibikiは交流会の参加人数が多かったため「1曲うたってぇ〜!」と事務局からリクエストがあり、 十八番の「たいしめ」を披露・・・ あれだけお酒飲んだ状態で人前で歌ったのは初めて! ・・・でもやはりこういう労働唄は酒抜きでは歌えないということなのか、 非常によく声が出ていて雰囲気も抜群!会場の人たちからもとても評判がよかった。 審査員の先生からも「なぜこの歌い方を本番でもやらなかったんだ?」と苦言を呈される。。。 やはり「たいしめ」は、ハジケないとダメね!

<感想>
またまた全国にたくさんの友人ができた。合唱を通しての“輪の広がり”を今一番の幸せとかんじている。 参加したメンバーもおなじ気持ちでいてくれるだろう。 ただ自分たちが上手くなるためだけの練習なんて本当につまらない。 自分たちの演奏を聴いてくれる人たちがいて、またその人たちの演奏を自分たちが聴き、 そこに交流が生まれ、再会を誓ってお互いちがう土地でまた練習に励む。。。 そんな素晴らしい活動の一環として、この宝塚室内合唱コンクールはとても重要な役割を果たしているように感じた。

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−2006年8月19日更新−
© 2006 徳島男声合唱団「響」