[色者(しきしゃ)のぼやき] 第18回

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「四国合唱コンクール in 徳島」

日時:2004年9月5日(日)
場所:徳島市文化センター

四国合唱コンクールが4年ぶりに地元徳島で開催された。 今年は「台風のオンパレード」で、とくに徳島には“メインストリート”ではないかと思われるほど直撃してきた。。。 今日も朝から警報が出たりして非常に天気がわるい!  四国各地から当日出発してくる仲間たちの状況が気になりつつ家を出た。 幸い高速道路などは通行止めもなく、無事到着したようでホッとする。

9月5日は「高校と職場・一般の部」である。 「響」の練習までは1時間ほどあるので、まず会場へ足を運ぶ。 3段に組まれたひな壇を徳島文化センターでは最近みたことがない。 さてどのように並ぼうか? このホールはステージ上での響きは悪いが結構遠くまで声は届く。 「3列オーダー」にして、ベースとテナーの距離感を縮めてお互いを聞き合えるようにしたい・・・ でも「響」はこれまで3列なんて組んだことがないので、これは正直“賭け”であった。

今回の課題曲のセレクトに関しては、昨年のダンスタブルに味をしめて、今年もポリフォニーで行こう! とジョスカンの「キリエ」を1月から練習♪・・・ 4月の定期演奏会で取り上げてみたものの、いまいちインパクトのない演奏で終わった。 正直これ以上どのように歌えばいいのかわからないまま、 5月のコーラスワークショップでロバート・スント氏の講習を受ける。 すると彼の曲解説ならびに考え方、いかにも西洋的な明るいリズム感、 その内容に自分はかなり衝撃を受けた・・・ そして「もう一度この曲に挑戦したい!」という“攻め”の気持ちにさせられたのである。 自由曲はフィンランドの作曲家マデトヤの作品を2つ、「森の中で」と「白みゆく街」。 フィンランドの作曲家といえばまずシベリウスが出てくるが、 自分はマデトヤの型にはまらない自由な作風が好きだ。 今回は雰囲気のちがった2つの作品をやってみようと考えた。。。 早くから音取りをはじめたつもりだが、最後までフィンランド語の暗譜に時間がかかってしまった。

本番は結構落ち着いてステージに立ったつもりであったが、やはり緊張していたのか、 「正面向き⇒指揮者向き」を指示するのを忘れて、そのまま音取りを指示! ・・・足がガタガタいう音とともに、ピッチの音がなる・・・ヤバイ! と思ったが、なんとか最初のセカンドとトップの出だしは踏ん張ってもらえた。 その後「キリエ」は決して走らぬように注意して演奏する。 さて自由曲のマデトヤ♪「森の中で」はトップテナーのパートソロを乗り切り、 バリトンSolo小林氏の甘い響きで勢いにのり、なかなかいい出来だった。 問題は「白みゆく街」!ポリフォニーの要素を持つこの歌はやはり他のパートを十分に聴いていないと、 タテがはっきりそろわない。「キリエ」で出来たことがこの曲で出来なかったということは、 やはりフィンランド語が自分たちのものにならなかったということか。 一番の聞かせどころだった「Vain〜」のところがキマらなかったことが悔やまれた。

結果は「カンマーコール愛媛」に僅差で敗れ“2位金賞”。 全国大会に進むにはやはり今ひとつ印象にかける演奏だったことは否めない。 人によっては「マデトヤを選ぶのは、勝負ということに関してはインパクトが弱い気がする」 とも言われたが、それはこの曲を十分に歌えてからの話であろう・・・ せめて悔いの残らないぐらいの「歌い込み」をみんなでしたかったというのが、 偽らざる正直な気持ちである。今回の審査員の先生方のコメントは下記のとおりであった。

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★松浦 周吉先生:
 アンサンブル立派、深みを感じさせる。しぶ味のある演奏魅力十分。

★香月 ハルカ先生:
(課)安定したひびきのオーソドックスな演奏を聴かせていただきました。
  (自)低音のひびきが豊かで高音とバランスが今ひとつ。テンポの変化、 リズムの躍動感等、もう一歩明確な表現が欲しく感じました。

★岸 信介先生:
(課)安定感のある男声合唱、全体にもっと明るく歌いたい。ハーモニーもしっかり決めて
(自)心に伝わる演奏。一人一人が表現しているのが何よりです。Good!!

★洲脇 光一先生:
美しい男声合唱をありがとうございます。pはとてもバランス良く良い響きですが、 fでどうしても音程、バランスがくずれます。又フレーズ感、 流れがもう少し接続すればもっと良いでしょう。好演。

★近藤 安个先生:
(課)大変丁寧でたっぷりした美しいJosquinです。♪が少し重いかな。
(自)ハーモニーの変化を適格に把握しよう。今年は声のイメチェンをしたのですね。
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香月先生の感想は、まさにそのとおりである。 歌詞もろくにおぼえていないのに躍動感なんて出るわけもない。 洲脇先生のおっしゃることは、いつも出る「響」の悪いクセである・・・やはりそうだったか。 近藤先生に「今年はイメチェンしたのね」と言われた時は苦笑してしまった。 でも去年のウチの演奏をおぼえていてくれたのかなぁ〜と少々うれしい気もした。

実は今年の「響」は近藤先生のいうとおり、イメチェンに挑戦したコンクールであった。 これまで力まかせに歌いきる男声合唱曲や民謡などを取り上げ、 知らないうちに「響」のイメージが「民謡系」にシフトされて認知されつつあることに最近気がついたのである。
「響」を「民謡合唱団?」として評価してもらえることはもちろん嬉しいことであるが、 もっと自分が挑戦したい分野は他にあるわけで、 今回は「北欧」というイメージを「響」がどんなふうに演奏できるのか、 やってみたかった・・・ 勝負には負けたが「金賞」という評価は、決して方向性が間違っているということではないので、 「響」にとっては有意義なコンクールであったと思っている。

ちなみに、今年はこの四国合唱コンクールにおいて、城西中学校と名西高校が金賞を受賞した。 これまで徳島県の中高は四国において苦杯をなめてきたが、 ここへ来てようやく四国で戦えるようになってきたようである。 これは徳島で合唱をしている人間にとって非常にうれしいことである! そしてこの上向いてきた合唱レベル(文化レベル)を後押しできるように、 新しいホールの建設などハード面での整備の必要性をさらに強く感じる次第である。



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−2004年10月3日更新−
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