[色者(しきしゃ)のぼやき] 第14回

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「四国合唱コンクール in 高松」

日時:2003年8月31日(日)
場所: 香川県民文化ホール・アクトホール


民謡合唱団?の選曲の妙

30日(土)・・・仕事を終えてから、テナーのE川氏とともにコンクール開催の高松市へ向かう。 最近は高速道路がつながって徳島〜高松は車で1時間かからない。 疲れも出ずそのまま徳島合唱団の練習会場へ ・・・そこで吉森先生から会場のアクトホールについてお話があった「ここのホール、 そんなに大きく歌わなくても、すごく残響があるので、“響き”さえかかってたらいい音がなる。 逆に響きがかかっていないと、全く声がとんでこない。」・・・ということらしい。 このことをよく肝に銘じて「響」も演奏をすすめる予定であった。。。(=_=)

今回は自由曲に関して言えば・・・自慢のトップテナーソリストを擁する「響」、 県内では「民謡合唱団」と新聞でもてはやされた「響」にとって、 「日本の民謡(第3集)」を自由曲で選ぶことは、しごく当然のことであった。 いつも自由曲の選択では頭を悩ませるのだが、今回はスンナリ決定! うちの団はとくに「この曲をやれ!」という団員もおらず、指揮者の意見がそのまま通過 ・・・素直なのか?テンションが低いのか?・・・(^^;)。

問題は選択曲だった。今年6月の徳島県合唱祭では選択曲3曲を演奏した。 ダンスタブル、ヤナーチェク、タダタケ・・・全然ちがう雰囲気のこの3曲。 4月に楽譜を手にしてまず「ヤナーチェク」か「タダタケ」と思った。 しかし5月に宮崎で行われたワークショップでは、 ダンスタブルに相当の時間をかけて高島先生が講習された。 発声、ポリフォニーの歌い方、宗教音楽をどう感じるか・・・など、 事細かに指導していただき最後にアイザックスタンホールで高島先生の指揮によりこの曲を歌わせてもらった。。。 なんとも幸せな気分になった。この至福の時がなければ、この曲を選択していなかったと思う(^-^)。

以後、この曲にはかなりの練習時間を割いて練習してきたつもり ・・・今まで「響」がポリフォニーに挑戦したことがなかったので、 最初は無茶苦茶!でもだんだんと自分もまた団員も、 その不思議な魅力に引きこまれていくような感覚になっていったのはたしかである。 他の男声合唱団の友人に選曲のことをきくと、 このコンクールでは「ヤナーチェク」を取り上げる男声合唱団が多いみたい。 タダタケも歌っていて本当に美しい曲 ・・・でも今は「ダンスタブル」を選択したことを全く後悔していない。


ステージでは・・・

さて、本番の31日・・・今回は徳島合唱団がAグループのトップ、 響がBグループのラストということで、いつものように会場内を走り回ることなく、 どちらの団にも十分に余裕を持って備えることができた。 アクトホールはコンパクトながら、天井が高く奥行きも十分ある。 まず徳島合唱団でステージに立ってみて・・・とにかく審査委員席は、 見上げないと視野に入らない(@_@)。 いつも「審査員席を睨むようにして歌え!」なんて指示しているが、 今回はやめたほうがいいかなぁ〜_(._.)_などと考える。。。 うたっていて残響が心地よく残るいいホール!「響」もこんなふうに上手く聞こえればいいんだけど・・・(-_-)

で、響の出番。。。舞台袖ではみんな座り込んでやや疲れた表情('_')。 昨年は選択曲でトップテナーのピッチがさがったことを思いだし、すこし不安がよぎる。 舞台に送り出すときに「ピッチに気をつけて、あかるく歌おう!」というと、 みんな頷きながらステージに入っていく・・・自分もすこしホッとする(^^)。 「ダンスタブル」の演奏がはじまる・・・ゆっくり演奏しながらピッチを保つのは本当にむずかしい。 でもみんなの顔がよかった(イケ面ではなく、表情のこと!)ので、 指揮もすんなりいったような気になった。客席にどうきこえているのかはわからない<(_ _)>。 自由曲はお得意の「民謡」!といっても松下耕氏の民謡はちょっとクセモノ・・・ それでも「刈干切唄」は、最初のA野氏のソロが炸裂し、そのままノッていけたような気がする。 「津軽じょんがら節」は絶対に走らないように気をつけたつもりだったが、 やっぱり走ったような感覚に・・・^^;。 それにしてもよく響くホールだ。。。残響もすごく長く感じられた。 こんなホールで存分に大声出して歌えた自分たちはやっぱり“幸せ”と言えるのだろう。

ステージ上での反省点も2点ほど。。。
  1. いつも「まっすぐ立って歌うように!」と指示しているが、 今回は選択曲でポリフォニー歌うため、出だしの指示をきちんと見るように少し内側を向かせるつもりが、 緊張のあまりに「内側を向かせる指示」を忘れる・・・ そのため、団員はいつもどおり、まっすぐ正面を向いて歌うハメに。。。 まぁ、そのほうが見栄えはよろし!
  2. いつも「審査員席を見てうたえ!」と指示しているが、 今回はあまりに審査員席が高い位置にあったため、団員は相当上を向いて歌うハメに。。。 ただ正直な学生団員S野氏は 「1階席の前のほうを、日頃見ることのできない女子高生の集団が席を埋め尽くし、 どうしてもそれに見とれて審査員席を見ることができませんでした・・・」とさ。。。 もしもし(*_*)???

講評・発表、下がったり上がったり

本番終了・・・どの練習の時よりもいい響きで歌えたはず! (それはホールのせい!)たぶん客席でもおなじように聞こえたのでは??? 舞台袖に向かうとまず香川事務局長S井氏が出迎えてくれる。 「よっしゃあ〜!よ〜やったぁ!たぶん1位まちがいないでぇ!審査員がダメといっても、 わしがなんとかしたる!」・・・ わけのわからない誉め言葉がうれしかった(まず1回目の「泣き」が入る)。 しかし、先に演奏を終えた徳島合唱団のマダムたちに言わせると 「チョットうるさかったよなぁ〜!」「選択曲ってあんな歌い方でええんでぇ?」 「高知ファミリーは、よぉ〜まとまっとったでよ。」。。。 “ふん、所詮女どもには男声合唱の良さはわかるまい!”と高をくくったままホールへ入ると、 高嶋先生の審査好評がはじまっていた。

「コンクールはそのホールの響きにどれだけ合ったような声を出せるか、ということが大切です。。。 このホールの響きを無視したような歌い方をした団体はまずダメです」・・・ ひぇ〜、なんか背筋が凍りつくようなお言葉(>_<)。。。一気にテンションは真っ逆さま。 なんかとてもみんなと同じホール内にいることができなくなり、 ひとりロビーに出てテレビモニターを見ながら審査結果を聞くことにした_(._.)_・・・ 何という情けない!(おもわず2回目の「泣き」が入る)。

審査結果は粛々と進み・・・高知ファミリーコーラス「ゴールド金賞」、 新居浜混声合唱団「銀賞」、徳島男声合唱団「響」〜〜〜 なんかココでへんな間が!〜〜〜「ゴールド金賞」。。。ホッ、とりあえず第一関門突破。 で、全国大会出場団体の発表「一般の部Bグループ・・・ なんかさっき以上のへんな間・・・3番、徳島男声合唱団「響」!」。。。 ここ数年聞いたことなかった自分たちの団名、感無量とはこのことか・・・ 声も出ずに涙だけが湧き上がってくる・・・ 3回目の「泣き」。しばらくして徳島合唱団のマダムのひとりがボクを呼びに来る。 「みんなのところへ行こうよ(^o^)」・・・さっきはひどい酷評してたクセに。

ホールに入ると、ステージ上では表彰式の真っ最中。 2階席にいるメンバーのみんなと握手を交わしながらよろこびを分かち合う。。。 団長がステージ上で表彰されてるのを見て、2階からみんなで“雄叫び”をあげる・・・ まわりの高校生からへんな目で見られるが、一向に気にならない(^^)。 ま、おっさん連中が若い子たちの前で騒げるのも、こんな時だけでっしゃろな(^_-)


全日本合唱連盟理事長賞?!

「さて、最後に全日本合唱連盟理事長賞を発表します。。。」 ま、この賞に関しては毎年「一般の部Aグループ、徳島合唱団」ということになって、 舞台上においでる吉森先生がすっくと立たれて、 賞状とメダルの授与を行うというシナリオが“お決まり”である・・・ 事実、今回ボクはバリトンで歌ってて、ミスしたようなところもないし、 パートソロもそこそこうまくいったし、徳島合唱団でまちがいない!と信じきっていた。 2階はザワザワと帰り仕度が始められたその時・・・

「一般の部Bグループ、徳島男声合唱団「響」に贈られます!、 指揮者の白神さん、ステージに来てください・・・帰ったかな?」。。。 この“大波乱”に会場のどよめきも凄まじいものとなった。 当の本人は呆然としていると、メンバーに「はよ、下に行け!」と突き出され、ステージへ。 こんなことになるなら、ユニクロのTシャツと洗いざらしの綿パンに黒スニーカーという出で立ちは避けたかった・・・ おまけに手にはプログラムとボールペンをもったままだ<(_ _)>。。。

ステージにあがるとき、そこにはまず高嶋先生が座ってて、 小さい声で「よかったね、おめでとう」と言ってくれた・・・ あ〜なんかまた泣いてしまいそう!あたたかい拍手がやっと鳴りやんだ後、 かつて京都エコーでお世話になった審査員の浅井先生が賞状を読みあげてくれて、 メダルもかけてくれた・・・泣いていいのかなあ〜よくわかんないなあ ・・・と感じつつ、舞台の後方の団長のヨコへ。抱きついてくるのか!と思えば、 軽く握手したのみ。。。 で、次の瞬間ふたつヨコにおいでた高知ファミリーコーラスの仮谷団長から 「おめでとうございます!よかったですね。」と声をかけられた。 思わず両手で握手に応えてしまった・・・。


感動、そして感謝

「響」は四国コンクール5回目の出場。 その間、いつもライバルとして意識し続けてきたのが「高知ファミリーコーラス」さんである。 この合唱団の存在がなければ、今の「響」は絶対にない。。。そう信じている。 そんなライバルの炎をめらめらと燃やし続けてきた自分たちに、 優しく手をさしのべてくれて・・・おもわず「うるうる」と。 そんなこんなの仰天表彰式も終わり、舞台袖に移動すると、そこにはS井氏が自 分のことにように目を潤ませてくれてよろこんで声をかけてくれ・・・思わず抱 きついて泣いてしまった(4回目の「泣き」)。おっさん同士の抱擁なんてキモ いのみだが、そんなこと知ったことかぁ!ってね・・・(^^)

帰りの車の中で、実際の演奏を聴いてみる。。。 極力走らないように心がけたつもりが、やはり早くなっている。 とくに演奏がすすむにつれてね・・・ つまり「津軽じょんがら節」はメチャ早い!・・・でもみんな声出して歌えてるのは奇跡! 徳島にもどってから徳島合唱団の打ち上げに参加した (「響」は全国大会に行けるかどうか不明だったので、当日の打ち上げは企画されていなかった!)。 そこで吉森先生からアドバイスをいただく「指揮はよこにながれるのでなく、 タテに点で振ってやったほうがいい。」・・・拍がきちんとすれば、 テンポも安定し走り出すことがないというのである。。。なるほどそうかも知れない。 ヨコに振るのは自分の感覚や感情を表現しようとするものであり、 それは指揮とはまた異なる部分なのであろう。 これを機会に自分のスタイルも変えていかなければいけないかんじである。。。 11月の本番までは長いようで短い気がしてきた。 とりあえず、今回はいろんな人から感動を分け与えてもらった。。。今は感謝の 気持ちでいっぱいである。



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−2003年9月6日更新−
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