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『木頭村 その山河が問いかけるもの』 (1月23日・金)
藤田恵『
木頭村 その山河が問いかけるもの 』(東京シューレ出版)を読んだ。著者は現在の徳島県那賀町に合併する前の木頭村の元村長。那賀川上流に計画されていた細川内(ほそごうち)ダムの建設を中止に追い込んだ人物だ。1993年に当選して2000年に建設中止が決まったらしい。
当時は連日この問題が報道されていたから買ってみた。月刊誌「むすぶ」での昨年までの連載をまとめたものだが全体の2/3が子ども時代の思い出話。田植えや魚捕りやハチのこととか山中の自然を懐かしむ内容だ。1939年生まれだから戦中戦後の田舎暮らしの話でそれはそれで面白いのだが。
杉を大規模に植林した拡大造林政策がいかに日本の国土を荒廃させたか。全くその通りで元村長ならではの視点も期待していたのだがこうした内容は冒頭の30ページだけ。しかも途中で自慢話と左翼の主張が混じってきてあれれ。元は牟岐町の郵便局員でNTTに転じて労働組合の書記長だったらしい。
当時の木頭村はダム建設に住民の75%が反対していて村議員10人の構成は半々。反対派の議会議長だった実兄に担がれて村長になったと。当時の圓藤寿穂知事が裏切ったため県を飛ばしてターゲットを国会議員に定めたという政治闘争の話は面白かったが。左翼活動家の自慢話として読んだ。
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